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第7回 九州がんセンター市民公開講座の質問回答を掲載しました

2018年01月15日

 

平成29年9月30日(土)の市民公開講座は終了致しました。
講座に参加して頂いた皆さん、質問して頂いた皆さんありがとうございました。
頂いた質問に対して回答を掲載しております。

 


 
29年度(平成29年9月30日開催) 市民公開講座
「ここまで進んだがんの放射線診断と治療」
質問への回答

 

【①ここまでわかる体の中、「がん」の顔つきと拡がり(画像診断科医長 篠崎賢治)】
・原発性のがんなのか転移性のがんなのか、どういう風に診断されるのでしょうか?
   画像診断では病気のある臓器、大きさや顔つき(性状)、拡がり範囲)により判断しますが、最終的には病理診断など他の診断結果と合わせて総合的に判断されます。

・造影剤の入れ方、方法はいくつもあるのですか?
 以前は点滴で入れていましたが、最近は自動注入機で入れることが一般的です。

・造影剤をしないCT検査と入れたCT検査との違いは?
 造影剤を入れると病気の血の巡り(血流)がわかり、がんの治療には有用です。造影剤が無くても血流以外の情報はあります。

 

【②”かたち”に頼らないがんの画像診断:PET/CT (画像診断科医長 澤本博史)】
・PET後、放射線が身体から完全になくなるのは何時間後ですか?またPET後の注意点は?
 個人差がありますので一概には言えませんが、薬剤(FDG)を注射してまる一日経過すれば完全に消失すると考えて差し支えありません。検査後は、小さなお子さんや妊婦さんと接する場合できるだけ距離をあけるようにして頂くこと、またFDGは大部分が尿より排泄されていきますので、検査後水分をしっかりと摂って戴くこと等をお願いしております。

・PET/CTは毎年受けても大丈夫でしょうか?(被ばくの問題)
・PET検査は通常年1回位と雑誌等で紹介されています。今年になり3月6月9月と3回受けましたが何回迄だったら大丈夫なのでしょうか?
・PET/CT検査のリスクが知りたい。毎年受けて意味がありますか?
・PET/CTは放射線利用なので治療(診断)出来る間隔はどのくらいでしょうか?(どのくらいの時間をあければ出来るのですか?)
・PET/CT後の発がん性について。
 PET/CT検査を繰り返すことによる人体への影響についての明確なデータ(具体的な回数、頻度等)はなく厳密な回答はできませんが、質問者の検査頻度(1~3回/年)では心配される程度ではないと考えます。またPET/CT検査によりがんの発生が増加するというデータもありません。但し、PET/CT検査は放射線被ばくがあり、かつ高額な検査ですので短期間に過度に繰り返すのは控えた方が良いのは間違いありませんし、がんの発見率の向上にもつながらない可能性があります。PET/CT検査(がん検診目的でと解釈致しますが)の適切な間隔につきましては、年齢、生活歴(喫煙等)、がん家系である等、がんの危険因子があるかないかでも違ってきますので一概には言えません。またPET/CT検査では発見しにくい(何度PET/CT検査を繰り返してもわからない)がんもあり、他の検査(例えば早期の食道がん、胃がん等であれば内視鏡検査)等と組み合わせることが重要です。

・PET/CT検査料金について教えてください。健診は不可でしょうか。また、装置に関しても教えてください。
 当院のPET/CT装置は、シーメンス社製のBiograph mCT20です。
検査費用は、保険で行う場合PET/CTの算定料+核医学診断料+画像管理加算の合計額で、3割負担の方であれば約3万円となります(これはあくまで1例で、月初めであるか、他の画像検査をしたか否か等の条件によって料金は変わります)。自費で行う場合(健診目的も含め)であれば10万円程度と思われます。健診で行う場合は各施設で料金設定が異なる可能性がありますので、その施設にお問い合わせ戴ければと思います。

・他の病院で「がん」と診断されてPET/CTを受診したいと申し出れば受診できるのでしょうか?
 早期胃がん以外であれば、がんの診断を他の医療機関で受けたか否かに関係無く、ステージ診断、再発、転移診断の目的で保険で行うことは可能です(但し、PET/CT以外の画像検査を含めた他の検査でステージ診断、再発、転移診断が出来ない場合に限ります)。

・PET/CTではどのような種類のがんに適応なのか。→金額が高いので。いつから保険適応になったのか。以前は全額負担であったのでは?
 保険適応に関しましては2002年に12種類のがんが対象となり、現在のところ早期胃がん以外の全ての悪性腫瘍が対象です。なお、悪性リンパ腫に限り治療効果判定目的で行うことも認められています。

・保険適応要件について。ある1つの婦人科で腫瘍マーカが上昇し腹部MRIをとってもどこが悪いのか分からないのでPET/CTを撮ったところ甲状腺がんが見つかったら(たまたま)これは保険適応になりますか?
 「婦人科がん(例えば子宮頸がん)で手術、抗がん剤等で治療を受けられた後」という状態を想定すればよいのでしょうか。この場合は子宮頸がんという病名でその再発疑い(PET/CT以外の画像検査を含めた他の検査で再発が確認できない)ということであれば保険適応となると考えます。たまたま見つかった甲状腺がんで保険適応とすることはできません。また、がんという診断がついておらず、単に腫瘍マーカーが高いからという理由でも保険は適用されません。

・PET/CTは他医療機関でがん治療(抗がん剤服用分子標約)を受けていても受診出来ますか?年1回の健康診断として受けてよいのでしょうか?
 早期胃がん以外の悪性腫瘍が確定している方であれば、治療を他の医療機関で受けるか否かに関係無く、ステージ診断、再発、転移診断の目的で保険で行うことは可能です(但し、PET/CT以外の画像検査を含めた他の検査でステージ診断、再発、転移診断が出来ない場合に限ります)。単に健康診断目的として受ける場合は保険は適用されません。

・糖尿病でも検査できますか?(血糖値が高くても)
・糖尿病でもいいですか?(血糖値測定とかありますか?)
 糖尿病でない方と比べ、画質が低下しがんの検出率が低下する可能性は確かにありますが、充分な時間絶食を行い、且つインスリン注射をしないで検査すると、ある程度は診断可能なことが多いです。また糖尿病をお持ちの方は腎機能が低下している方も多く、CT検査では造影剤を使用できず充分な診断ができない場合もありますので、PET/CT検査を行う価値は充分あると思われます。血糖値測定はFDGの注射の直前に行っております。撮影した画像の評価の参考とする目的です。

・ある病院でPETを受けているのですが、水を飲む事はありませんがいいのでしょうか?
 質問された方は主治医の先生の指示で飲水を制限されているのでしょうか。そうでないのであれば、飲水を行い撮影前に排尿し、余計なFDGを排泄させた方が膀胱の被曝を減らせますし、画質の向上にもつながると思われます。検査時の飲水に関しましてはその病院にもお問合せ戴ければと思います。なお当院では検査時に可能な方には飲水をお願いしております。

 

【③ここまで進んだ! 放射線治療~高精度放射線治療を中心に~ (放射線治療科医長 國武 直信)】
・どの様な(部位)がんがIMRTに効果的か教えてください。
 頭頸部、婦人科、前立腺、膵臓、その他の周囲の正常臓器をなるべく避けて照射をしたい場合。

・貴院の放射線と鳥栖(佐賀県)のそれの違い(効果)と費用の違いは何でしょうか?
 当院は”がん”であればすべて保険適応、鳥栖の重粒子線はほとんどの疾患が保険非適応です。

・IMRTと粒子線、陽子線治療はどちらが治療率が高いのでしょうか?
 疾患や適応が異なりますので、簡単な比較は難しいと思います。重粒子線は通常の放射線治療で効果が期待できない腫瘍にも効くことがあり、このメリットは大きいと思います。

・重粒子線治療の現在の保険適応とこれから。
 骨腫瘍の一部に保険適応があると聞いていますが、詳細は治療施設に問い合わせてください。

・放射線治療中、咳、くしゃみをして大丈夫ですか?
 動きは照射中はなるべく避けた方がよいので、咳止めなどを使用して照射しています。

・術前照射はどういうがんに適用されていますか?
 食道がん、肺がんの一部、頭頸部がんです。

・乳管内のがん非浸潤乳がんに放射線は効きにくいと聞いたことがありますが、効果はどうでしょうか?
 部分切除後、ガイドライン上は適応があります。実際に行っています。

・肺転移がんに対して”IMRT”の治療は可能でしょうか?
 数、大きさ、部位で異なります。

・放射線の世界だけで(手術、化学療法を除く)腹膜播腫に対する治療はどうなのか?治療法、治験を教えてください。
 照射が大きくなるので副作用が強くなり、通常は非適応です。緩和照射の場合は適応となる場合もあります。

・重粒子でのピンポイント治療1回300万するのですが治るのでしょうか?6か月位待たないと治療が出来ないと聞いています。待っている間に進行してしまうのでは?
 症例それぞれで異なりますので個別に相談をしてください。

・肺がんのステージ4でしたら放射線治療は受けられないのですか?リンパ転移あり、大細胞がん。
 根治的放射線治療の適応はないように思いますが、緩和照射は可能と思います。

・婦人科の腫瘍(悪性)には放射線は使用できないのか?大牟田市立病院、久留米大学にも放射線治療装置があると思うが、がんセンターと設備、機械の精度が異なるか?病院を選ぶのに大変迷った。教えてください。
 婦人科腫瘍に関しては、根治照射の適応となる子宮頸がんがありますが、その他の疾患でも完全な非適応とならない場合(緩和照射)があります。担当の先生と個別に相談してみてください。

・心筋梗塞、間質性肺炎を併発しています。肺腺がん(再発)及び転移(右肺→左肺。未確定CT画像。)重粒子線でもこれらの進行のリスクは大きいでしょうか?又、放射線治療は適さないでしょうか?治療中、静止していることが苦手、困難です。麻酔を使っての対処は可能でしょうか?
 まずはがんの拡がりから放射線治療の適応を決めなくてはいけませんので、局所療法である放射線治療が可能な状態か否かが最も重要です。

 

【④みんなが知りたいPET-CT検査の進め方   (主任診療放射線技師 吉良加恵)】
・不安なので精神安定剤を飲んで、検査が受けられますか?
 受けられます。検査を受けられる前にお知らせください。

 

【⑤みんなが知りたい放射線治療までの進め方  (主任診療放射線技師 片平俊善)】
・CTやX線などで位置を確認しているのに動いてはいけない!!位置を常に確保できないという事でしょうか?(事前計画通りで動きに対する応用がない。)位置を確認している時の被ばくは?
 基本的には位置を合わせてから治療になり、治療中は確認しません。呼吸などによる動きの予測はしておりますが、予想以上の動きには対応が困難な場合があります。実際、問題となるような治療中の体の動きはほとんど見受けられません。位置を確認している時の被ばくは通常検査のX線やCTの時よりも低い被ばく線量となっています。また、位置を確認する時の被ばくより、治療用の放射線による被ばくの方が断然大きくなりますので、あまり心配する必要はありません。

 

【⑥放射線治療室ってどんなところ? (がん放射線療法看護認定看護師/副看護師長 小柳有子)】
・放射線治療を否定する人(怖がる)は結構いるのでしょうか?
 拒否する人はほとんどいませんが、「放射線ってよくわからないので怖い」という人は時々います。

・放射線治療の副作用で髪が抜けることはありますか?重粒子線治療との相違点をもう少し説明してほしい。電話でも相談を受けてくれますか?
 頭部への放射線治療の場合は脱毛はあります。重粒子線治療との相違点についてはどの様な内容で説明をした方がよいのか、電話相談も含めて個別での対応になるかとは思います。

・照射中ずっと喋っていても良いのか?平均的に照射時間はどれぐらいか?
 できれば体の動きが少ない方がいいので、不必要にずっと話をしない方がいいです。照射時間は治療の方法によってそれぞれ違ってきます。おおよそ5分程度ですが、特殊な治療方法だと、治療までの位置合わせの準備や確認する時間全体を含めると15分から60分かかることもあります。

 

【⑦その他  (統括診療部長 森田勝)】
・安全管理はどうなっていますか?
 放射線は外に漏れないように部屋全体を遮蔽しています。また、治療装置や検査の線量も定期的に点検しています。

・がん検査の種類が多すぎて何を検査したらよいのかがよく分かりません。何を検査するか、どういう基準で決めたら良いのでしょうか?
 まず、検査の精度が高く、コストが安いものから始めます。具体的には市町村や会社が検診として行っているものがそれに当たります。異常が見つかれば専門医の指示で検査計画が組まれます。

・早期発見の為の定期検査のポイントを教えていただきたいです。〇年に△△診断を受けるなど。保険適用でしょうか?
 検診は保険対象外です。しかし、市町村や会社からの補助もありますので、必ず検診を受診することをお勧めします。胃カメラ、検便、胸部レントゲン、腹部エコーは年に1度をお勧めします。

・肝胆膵ドックのチラシを見ました。母が胆のうがんで亡くなりましたが、当時も自覚症状が出て病院に行っても胆のうがんの発見までに1ヵ月位かかりました。ドックは大変高額で自己負担が大きいです。ほかに何か早期発見の方法や予兆などはありますか?
 検診は保険対象外です。しかし、市町村や会社からの補助もありますので必ず検診を受診することをお勧めします。何らかの症状がある場合は早めに医師に相談してください。

・血液でがんを発見できるとテレビで放送されていましたが、この検査方法は今どの程度進んでいますか?又、期待は出来ますか?
 保険適応の腫瘍マーカーはがんの治療効果、再発などの目的で行われます。検診目的ではありません。(前立腺のPSAは検診でも使われます。)テレビで放送されていたものは確立した証拠はまだなく、いまだ研究段階と言えます。ただ今後試験が繰り返され、一般に広まる可能性はあります。

・前立腺がんと前立腺肥大との違い(関係)
 前立腺がんは悪性の腫瘍で前立腺の外に広がって他の臓器に転移しますが、前立腺肥大症は良性疾患で外に広がったり、転移はしません。前立腺肥大症を未治療のままにしたからと言ってがん化することはありませんが、前立腺肥大症と前立腺がんが併存しているケースがあるため、鑑別の為の検査が重要となります。

・がんと貧血の関係。血管に食いついた状態の時の貧血?
 貧血とは血液が薄くなった状態です。一般にはヘモグロビン濃度が基準値を下回った場合に貧血とされます。出血や鉄やビタミンの欠乏などいろんな原因で起こります。がんが血管等の周りの臓器に食いついた状態を「浸潤(しんじゅん)」と言います。

・MRIとCTの機能や病気による取扱の違いは何ですか?
 CTは放射線を使用しMRIは磁気を使います。CTは比較的広い範囲を一度に観察できます。MRIはより狭い範囲を、いろんな条件で見れます。(特に整形外科や脳外科などで頻繁に使われます。)

・がんが2人に1人、生涯に1回と戦前戦後を通じて現在増加しつつありますが、その理由は何だと思われますか?
 高齢化、生活習慣の変化、また、食事や環境因子など様々な要因によります。

・核の検査と書いてありましたが。
 核医学検査:RI検査とも言います。RIと言うのは放射性同位元素(Radioisotope)の略で、簡単に言うと「放射線を出す物質」の事です。核医学検査とは、「放射性同位元素を用いる検査」という意味で使われています。骨シンチやPET検査などがこれに含まれます。

・九大病院やその他の大きな病院との設備の違い。九州がんセンターならではの特徴を教えて頂きたいです。
 大きい病院では一般にいろんな検査器具が揃っており、より精度の高い器具が揃っていることもあります。ただし、小さな病院でも素晴らしい検査器具や治療装置を揃えている病院もあります。九州がんセンターでは講演会で御紹介した最新鋭のCT、MRI、PET等の検査器具の他、高精度放射線治療装置を備えています。